2015年12月のエッセイ堺大仙公園の日本庭園平成曲水の宴谷下一玄
昭和23年、24年とつづけて柳之町の月蔵寺で曲水の宴を催したのは半夜創始者大野翠峰であった。翠峰風流帖によると、堺文芸史上未曾有の盛観であったと記されている。それ以後中断されていましたが、平成17年3月3日に小手調べに半夜会にて「曲水の宴」を行いました。その時のことは、前回、平成17年6月のエッセイに「曲水の宴のまねごと」として、掲載していただきました。 その後、まねごとでなく本格的に「曲水の宴」を行いたいと書いておきましたが、半夜会でも意識が盛り上がり、平成18年3月3日に本格的に実施しました。始めはプラスチックの箱を加工して鳥形の船をつくり実施しておりましたが、堺市民芸術祭俳句大会を通じ知り合いました堺の俳人達が意気投合して超結社の堺俳人クラブを結成(平成20年9月28日)してからは、堺俳人クラブの年間行事として毎年開催しております。 第1回目の堺俳人クラブの「曲水の宴」は平成21年3月3日で、現地に立てた「曲水の宴」の制札は 「それ流觴曲水の宴は遠く平安の昔、清らかな水の流れに羽觴の盃を浮かべ一觴一詠の風懐を楽しむ行事として伝えられる、然るにいま、当日本庭園に於いて催さんとするは、故実にとらわれず旧風に従わず俳譜を以って往時の風雅を楽しむ企てにして、正にこれ平成曲水の新例なり、昔人のそれに劣らざる新味即ち深をめざし、されば今日集い結ぶ諸結社一群努めて精進を篤くして羽觴靄水に浮くままに詩嚢を肥やし打座即刻の作品を成すものなり、これに適わざりしは罰杯の責めを受くるものなり 堺俳人クラブ」 とあった。当日の出席者は九十数名で十組に分かれ、一組ずつ十のお題が順番に流されることになり、自分の組の題が流されると岸辺にはりつき、じっくりと流れゆく流觴の姿をみながら作句です。 平成21年度天賞 流觴をあやつる風のありにけり 井上 怜女 平成22年度天賞 桃の花明るき声のあがりけり 土居 久子 平成23年度天賞 手際よく棹に羽觴の向きかはる 船原 勝子 平成24年度天賞 流觴の瀬波におくれとりもどす 谷下 一玄 平成25年度天賞 流觴へ一声かけて水へ置く 島津 昌 平成26年度天賞 水の音地のふくらみに草萌ゆる 二宮 順子 新調された木製の羽觴はとても格好よくすてきな出で立ちでしたが水量の加減もありなかなかうまくゆきません。それでも改良に改良を加えては現代に至っております。平成27年度は3月1日に行われました。当日は朝からあいにくの雨で、川を流すのを断念して池に浮かすこととし、それぞれに思い思いに曲水を楽しみました 天賞 散文のごとき水輪や春の雨 田中禧世子 惜しいことに雨降る日でなかったら、どんなに楽しい曲水になった事かとちょっと残念でした。 「曲水の宴」は、反省と改良を重ねてつづけられております。この俳句での「曲水の宴」の行事は、日本では堺市だけで、関西現代俳句協会、俳人協会、日本伝統俳句協会等のみなさんにも御協力をお願いして俳句の輪を広げたいものと思っています。次回は平成28年3月6日の予定。 (以上) ◆「堺大仙公園の日本庭園平成曲水の宴」: |
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