2022年4月のエッセイ薪ストーブサウナの歓び岡村知昭私が行きつけにしているスーパー銭湯の高温サウナ室では、土曜、日曜、祝日に薪ストーブが稼働しています。この店では薪ストーブのサウナを「関西唯一」と大きくアピールしているのですが、おそらく全国でも薪ストーブが設置されているサウナは、どうやらそうそうなさそうなので、自分の家の近くにこんな貴重なところがあるのは、本当にうれしい限りです。週末と祝日には、薪から生まれる熱を体全体で浴びたくて、これは行き過ぎじゃないか、と自分で思ってしまうぐらいに通い詰めています。サウナが好きになって何年も経ちますが、ここの薪ストーブのサウナを知ったのが、私のサウナ好きの大きなきっかけとなったのは間違いありません。 高温サウナ室はパンデミックの影響で、ただいま定員が6人。入る前に人数の確認をして、いざ扉を開けて中へ。平日は熱気が溜まりやすい上段の席に座るのですが、薪ストーブサウナの日は熱がほぼ均一にサウナ室内に籠っているので、いつも下段の席に座るようにしています。下段の席に座るもうひとつの理由は、薪ストーブで薪が燃えるのを眺めやすいこと。スーパー銭湯のサウナ室には珍しく室内にテレビがないので(私はほかの店もそのようしてほしいと思っているのですが)、高熱を体全体で浴びながら、薪から次々と生まれてゆく炎がどうなっていくのかを見守ります。できるだけそのときは、何か考えたりはしないようにします。ぱちぱちと小さな音を立てながら薪が燃える様子は、見ていて心なごむものなのです。 ときどき、お店の方が薪ストーブの様子を見に来て、薪を足していきます。薪の燃え具合のタイミングが合わないと、炎が消えかけてしまい、室内の熱も下がってしまうからです。丁寧に何本かの薪ストーブに入れていきます。薪の準備、日ごろの手入れの大変さを想うとお店の方には感謝です。薪に小さくなっていた火が移り、少しずつ薪を燃やしていきます。そして、だんだんとぱちぱちと音を立てはじめ、薪は炎の塊となります。 燃える薪から生じた熱は、薪ストーブの上に置かれたサウナストーンを通じて、サウナ室全体へと広がっていきます。薪ストーブの反対側では、平日に使われている電気式のサウナヒーターも稼働しています。薪の熱と電気の熱、ふたつの熱に包まれたサウナ室で、およそ8分から10分、私はぼんやりと過ごします。お店の方が「薪ストーブの熱はまろやかですよ」と言っておられたのですが、まさにその通り。サウナ室で私は、まろやかな熱と、ある時はぱちぱち、ある時はバチッと爆ぜる音に、心と体をゆったりゆだねているのです。どうやら書いているうちに行きたくなってきたみたいです。ご紹介はここまでとして、薪ストーブサウナを味わいに、これから行きつけへ行ってきます。 (以上) ◆「薪ストーブサウナの歓び」:岡村知昭(おかむら・ともあき)◆ |
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